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ならずものがやってくる ジェニファー・イーガン 谷崎由依訳

過去、現在、未来にまたがる群像劇。 思春期に親友が男に取られるのを間近で見続ける痛さ。思索家で気遣いのできるいい子があっけなく亡くなる理不尽さ。独裁者に堂々と立ち向かう元女優の爽快さ。保守コミュニティを凛と生き抜くマイノリティの子どもや母親…

走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹

P100 たとえ絶対的な練習量は落としても、休みは二日続けないというのが、走り込み期間における基本的ルールだ。筋肉は覚えの良い使役動物に似ている。…「これだけの仕事をやってもらわなくては困るんだよ」と実例を示しながら繰り返して説得すれば、相手も…

トレインイロ

図書館の返却された本の中にこんな本が 中を見ると…電車の写真は一切無くて、配色のみ! これは私が借りなくて誰が借りるっていう本! 検索欲をそそられる… というわけで、勝手にランキング。この本に載ってる電車の配色ベスト5。 第5位 広島電鉄5100 富山…

鷲田清一×永江朗 「てつがくこじんじゅぎょう 〈殺し文句〉から入る哲学入門」

P194アリストテレス『形而上学』 鷲田 必然性っていうのは、原因/結果で考えると、いつでも一本線になる。人生、分かれ道がいっぱいあっても、一本の因果で道は決まっていた、っていうふうに。いまの「私探し」とか「アイデンティティ」っていうのは、ぜん…

木地雅映子「氷の海のガレオン」より抜粋

P30 「うちってテレビがないじゃない、前にそれを言ったら、みんなすごいびっくりして、『じゃ夜はなにしてるの?』って聞くんだよね。それで、『本を読んだり、ひとりで考えごとしたり』、あとなに言ったっけな、あと、そう『庭に出てぼーっとしたり』って…

橋本治「人はなぜ美しいが分かるのか」まとめ

まず「感動」がある。 一時的、突発的襲撃。判断停止。思考の混乱。 その感動はのちのち、分析が必要に成るかもしれない。分析がどの程度必要かも分からない。なんで分析も何の役に立つのかも分からないのに、こんなに感動しているんだろう…という戸惑い。 …

永井均「子どものための哲学対話」まとめ

生まれ(生まれつき) ネクラ なにか意味のあることをしたり、ほかのだれかに認めてもらわなくては、満たされない人。下品。 道徳的な善悪を重視しがち。自分の外側にしかたよるものがないから。 ネクラな人がちゃんとした人になるにはね、なにか人生全体に…

保坂和志「書きあぐねている人のための小説入門」より抜粋

小説とは、「個」が立ち上がるものだということだ。べつの言い方をすれば、社会化されている人間のなかにある社会化されていない部分をいかに言語化するかということで、その社会化されていない部分は、普段の生活ではマイナスになったり、他人から怪訝な顔…

西洋音楽史 岡田暁生 『』内は引用。

音楽+西洋史(+美術史)、という感じで歴史好きにはたまらない一冊でした。 クラシック=『独仏伊芸術音楽 (P10)』。 『世界最強の民族音楽 (Pviii)』。 クラシックが他の民族音楽を駆逐していったのは、西洋科学が他の思想・文化を駆逐していったことに近…

「人格改造マニュアル」に書いてあって最近役に立ったこと。 1つ目はモカ錠。私は「午後」「日だまりの中」「乗り気でない勉強」この3点が揃うと90%寝てしまう。中学校の頃からずっとそう。しかしモカ錠を飲むようになったら、全く眠くなくなった。 結果…

今年読んだ本ベスト10 ざっと。順不同。

「幽界森娘異聞」笙野頼子 森娘(≒森茉莉)論。 最もズシンときた801論。 「孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)」江戸川乱歩 『こうなったら愛し合おう』キター!すべての801っ子が読めばいい。 あと「絵画と旅する男」を大槻ケンジが「萌えの原…

「アホウドリの糞でできた国 ナウル共和国物語」

帰りの電車の中で読む。活字だらけの本かと思いきや、子どもでも読めそうな絵本といった感じ。装丁もイラストも文章もいいのでてっきり外国の本を訳したと思ったくらい*1。単純な教養話になっていないのが好感。 *1:日本の本でした

「日本一怖い! ブック・オブ・ザ・イヤー2006」

ジャンル別の読むべき本と読まなくていい本が分かります。 齋藤美奈子×高橋源一郎がある限り買い続けます。去年は2人が勧める10冊のうち7冊に手を出し、ハズレなし。特に「金比羅」と「パンク侍、斬られて候」が面白かった 今年は、他のジャンルもメンツが…

本の情報をどこから仕入れているのか、今図書館で借りている本から分析してみまっす。 パターン① 作家借り。 「島暮らしの記録」 トーベ ヤンソン ヤンソンだから。 「アメリカン・ナルシス メルヴィルからミルハウザーまで」 柴田元幸 柴田元幸だから。 「…

「わからない」という方法 橋本治 

「へんじゃない」ばかりを増大させた社会は人から特性を奪う。 自分の特性を忌避し、隠蔽しようとする。他の人の特性を忌避し、いじめる。 特性は脳みそに起因してて、脳みそだからその人のせいじゃない、と思った方が、他の人の特性に寛容になれる気がして…

痛快!憲法学 小室直樹

「民主主義はいかに生まれたか」、そんでもって、「日本は民主主義が生きていると言えるのか?」「その民主主義をkeepする道具である『憲法』は生きているのか?」について書いてある本。 「民主主義はいかに生まれたか」の部分では、「人権」「議会」「平等…

最近、島唄とクラシックを図書館で借りてきて聴いてます。島唄は、奄美の島唄と、嘉手苅林昌さんと、登川誠人さん。(このへんは「ナビィの恋」の影響)。 その① 朝崎郁恵さんの「ようこそ先輩」を見ました。 奄美大島の南にある加計呂麻島が舞台。面積は奄…

Reading Baton その①

id:summercontrailさんから頂いたReading Batonにやっと答えます。後半は原本が手元にないので、月曜以降に更新します。 お気に入りのテキストサイト(ブログ) 夢綺幻*diary http://peee.boo.jp/blog/ バレエ、裁縫。 放蕩娘の縞々ストッキング http://houtou…

「江戸にフランス革命を!」橋本治

江戸時代ってのは、物質的に貧しくなかったし精神的には豊かだった。今よりいい時代じゃないか。日常の隅々にまで「微細な遊び=美意識」を当たり前に行き渡らせ、「感性=何を面白いと思うか=文化」だけを育てた世界。すべて木造の江戸の町はさぞかし美し…

ハピバースデー自分!以下買ったもの

「子どものための哲学対話」永井均

忘年会の2次会で、勤め先のNo.1が、No.2に、ヒステリックに怒り狂いました。 もう片方の部屋(隣の部屋)に居たNo.3以下に、大声の部分は筒抜け。No.3以下、まずい〜、怖い〜、No.1の精神状態が尋常じゃない〜と、縮こまっておりました。 私は、No.1とN0.2…

トップランナー よしもとばなな

体は全部知っている 一番成長した 1年間、短編を一日一遍書くことを目標にした。結果的にそこまではできなかったが、毎日エピソードなど何かは書いた*1。 このきっかけは、昔何かで読んだ。「スラムダンクの桜木花道が一日に一万本シュートを打つ姿に感銘し…

「美しい日本の残像」アレックス・カー

飛騨高山に1日滞在して思ったのは、「日本の文化って死んでるんだな」ってこと。町並み保存通りは、人多杉で、一歩中にはいるとどこにでもあるフツーの土産物屋。保存されている民家に入ると、中は蛍光灯でこうこうと照らされてて、受付のおばちゃんは昼ド…

白州正子「いまなぜ青山二郎なのか」

青山二郎が好きだ。読み返すたびのこの痛快さはなんなんだろう。今日は途中まで。特に好きな「井戸茶碗に捧げられた一節」。 吾が手に帰した喜びは より以上の物があるだらうと云う 予想を受け付けない 大満足とは天上天下に 己一人気をやる ことである」 「…

白州正子自伝

そこを考えようと、白州正子自伝をひもときます。まずはこれぞ武士道。しびれる〜の部分から。 薩南示現流の使い手、指宿藤次郎と前田某が見回組と遭遇。前田は逃げた。指宿は5人の敵を倒すも転倒、殺された。 指宿の葬儀にて、指宿の親友の橋口覚之進は、…