BIWAKOビエンナーレ

 今まで全く知らなかったイベント。それもそのはず個人が主催。とはいえ今回で6回目ということでなかなかの作品数。展示場間の距離感が絶妙で、徒歩でちょうど一日たっぷり楽しめた。
 最初は不親切さにイラッとした。市営駐車場で配られた地図にも記載が無く、案内板がその場所にしかなく、メイン会場すらなかなか見つけられず…。のぼりも旗も一切なく、町ぐるみで応援している感じもなく、本当にイベントがあるかどうかすら疑うほど。
 でも、回っていくうち、大まかな地図や、ほかの人の流れをヒントに迷って見つけ出すもまた面白いと感じるように。逆に今までの大規模アートイベントが懇切丁寧過ぎたとも。
 作品の完成度は玉石混交(クワクボリョウタを大きくしたもどきの作品には閉口…)。
 それを補うのが、建物の力。江戸期に作られた空き町家や元造り酒屋が効いてる。低予算のためだろう保全は最低限で、雨は漏ってるし、床はギシギシ言うし、掃除も行き届いていない(スリッパが置いてあるがそれも使用感が…)。でもその朽ちた感じが、清潔すぎるリノベーションには出せない雰囲気を出している。生活感あふれるミニ廃墟とでもいう空間が展示スペースの隣にあったりして、それもまた興味深い。
 そして迷路感。分岐したコースの奥行きが深く、進むのをためらうほど。広くて高くて暗い造り酒屋の醸造スペースから、建物間の真っ暗な裏路地へ、続く小さい純和風中庭、靴を脱いで住居スペースへ、その転換が楽しい。
 ボランティアは一会場に一人。迷路だったり2階があったりするので、死角がいっぱい。そしてすべての作品が写真撮影可。お客を信頼したかなり自由な展示姿勢。一つ一つのスペースが独立しているので、それなりに人が居ても、独占して見れる時間帯が多いことも素晴らしい。

 お金をかけていない割には見ごたえがある印象。作品が増えた10年後ぐらいにまた来たいと思った。