新選組!#33③ほぼ日を読んで

新選組!を、「立派な人を描いた物語じゃないんだ」「ずいぶん未熟」「ガキっぽい法度」「目的がよくわかってない若者集団」と評して、「ようするに、ほんとうに連合赤軍だし、ドストエフスキーの『悪霊』の世界ですよね」と。*1

 納得!確かに!って、連合赤軍のことよく知らないんだけど・・・(調べてみる)・・・29人の内14人が内部粛正されてると。あちゃー。
 連合赤軍って、初期は、単に自己批判をお互いにしていただけだったんだね。

①仲間から、自分の弱い点を指摘される。
②本人も自己批判をして、自分の行動や誤りまたは弱点を克服すべく、考えを総括する。
③同志達は、さらに批判する。
④本人は批判を真剣に受け止め、革命戦士化された強靭な精神を獲得する。*2

 これ、グループエンカウンターじゃん。最後に他者からの救いのないグループエンカウンター。落とすだけ落としといて一人で上がってこい、という。(これ、フツーに生きる気なくすぞ、私なら)。しかしこれならまあ、自分から進んでやっている分にはいい。
 許せないのは、TOPの権力握ってる人が、批判の際に暴力を容認したこと。

「殴って気絶させ、気絶から目覚めた時には別の人間に生まれ変わってを革命戦士化を受け入れるはずである」*3

 って、魔女狩り並に理屈通ってないから!結局、気絶する人は誰もいなかった。批判(暴力)にかかった人はみんな死んでった。
 さらに傍観も許されない。「法度を破った人間を、お前、殴れなかったな。お前、革命戦士化するには、批判を受けないかんな」とか、ほとんど恐怖政治。自分が標的になりたくないからTOPの言うことをただ聞くしかない。
 殴られてボロボロの仲間に、「がんばってこの批判を乗り越えて、そしてもっと強い人間になって!あなたなら革命戦士になれるはずよ!」と冷え性を気遣い毛布をかけた。って、冷静に考えろー!間違っとるって!恐怖政治下にあって、自分の頭が使えなくなってるんだなー。

 びっくりするのは、粛正される方も、する方も、元来、実にまじめによく考え、感受性もある人たちが多い。そーゆーとこも、新選組!に似てる。

まとめ①

  • 連合赤軍は、TOPの人1人がバカにしか見えない。
  • その点、土方は「近藤のため」というのがある分かわいくみえる・・・けど、バカやってることには変わりねーぞ。下の者にとっては、恐怖政治に他ならないぞ。

まとめ②

  • 新選組!は、目的があいまい(尊皇攘夷?幕府の手先?)。「武士らしく!」に夢中になってるだけ。
  • 連合赤軍は、目的がある。しかし、「革命戦士たれ!」に夢中になりすぎて、冷静に時勢判断ができなくなってる。

そう考えると、内部粛正なしにゲリラ戦法を成功させたホーチミンチェ・ゲバラは、目的、そして冷静な判断力をずーっとキープしてたんだからすごい。

平和のためにだの、革命のためにだので、武器を振り回したり、建物を破壊したときに、爆破したビルの中に勤めているふつうの人がいるわけでさぁ。
その人たちが死んじゃうのはしょうがない、というくらいの大事なことをやってるつもりなんですよね。それで、あとで泣くようなことじゃ 申しわけがたたないですよね、ほんとうは。*4

  • 疑問①革命のための内部粛正は正当化されるのか。
  • 疑問②革命のための殺人は正当化されるのか。
  • 疑問③平和のための内部粛正は正当化されるのか。
  • 疑問④平和のための殺人は正当化されるのか。

 新選組は、京都の治安維持に携わることになるので、疑問③④にあたるとおもうんだけれども、そもそも③④は響きからしておかしい(平和のための殺人て・・・オイ)。緊急事態だから「司法+刑罰を行う」が新選組にまかされているだけで、本来あっちゃいかん事態なんだよな。新選組の歴史的意義は反面教師としてしかない。
 
 歴史的意義はなくても、「立派な人を描いた物語じゃない」新選組!は好き。人間くさくて、いろいろ考えさせられてしまう。最後まで、見届けさせていただきます!