大島弓子に対する最初のイメージ「ファンタジー」「メルヘン」・・・興味ない、と思ってた。ネームが多くて、積ん読になってた。ある日ふと読んだ。

 とりえってなんですか?
 とりえってすなわちあなた自身ではありませんか
 とべないことも
 不可能のことも
 冴えないことも
 みんなとりえなんじゃありませんか 『四月怪談』

欠点こそがとりえだなんて! 生きていること自体がとりえだなんて!

鳥は鳥に 人間は人間に 星は星 風は風に  『綿の国星

私は私に。私は私になるしかない(ガーン)。

大島弓子を読み進めていって勝手に決意した。「こんなすごいのに出会えるんだったら、わたしは一生少女マンガ読みを続ける」と。

  • 話の展開はゴツゴツ、キテレツ、トぶ(飛躍がある)、理屈付けできない。どこかしら失敗してる。
  • 凄いのはディティール。細かいところの確かさ。そう!それ!としか言いようがない描写。読んでいると、苦しくなるくらい。しかも何気ない簡素な言葉で。

いついかなるときも”あんたのために”という言葉は美しくない 『サバシリーズ』

まてど こない汽船を 待つ生活
こわかったのは
そんなのも いいなと思って しまったこと 『金髪の草原

「おれはさあフランスママのアイディアは数千年古いと思うな」
「あたしはちがう あたしは数千年未来のアイディアだと思ったわ」
「うん その方がいい おまえの考え方の方がずっといいよ」 『水枕羽枕』

わたしねおばあちゃんが突然全員よびだした気持ちわかるわ
はっきりとした夢をみてめざめたあと
どちらが現実かわからなくなって
それでみんなをよんでしまったのよね
んでしばらくたってみんな現実だとわかってから
時夫がまたたずねたりすると
その現実にほっとするんだわ
わたしとってもわかるわ
それは年だからじゃないわお母さん
それはおばあちゃんが今とても幸せだからだわ
わたしチビ猫だけどそういう気持ちだったもの 『綿の国星


死後の世界も、この世も。

どちらもおなじ かがやくのはら 『綿の国星

想いは
うつりかわり
うつりかわり
かげろうのよう


ひとつの事を
考えつめようとしても
もう次の考えに
うつってしまいます


外のけしきが一日一日と
うつりかわってゆくからです


おばけのような桜が
おわったとおもうと
遅咲きの八重桜
すみれやれんぎょそう
花厨王
黄色い山ぶき
雪柳
なんとすごい
なんとすごい
季節でしょう 『綿の国星

今の季節にぴったり。だからレポート書かなくてはならんのに、こんな長文を書いてしまうのか。ティーンエイジファンクラブのバンドワゴネスク聴きながら、少し大きな気分になってしまった。