西洋音楽史 岡田暁生 『』内は引用。
音楽+西洋史(+美術史)、という感じで歴史好きにはたまらない一冊でした。
クラシック=『独仏伊芸術音楽 (P10)』。 『世界最強の民族音楽 (Pviii)』。 クラシックが他の民族音楽を駆逐していったのは、西洋科学が他の思想・文化を駆逐していったことに近い気がする。 バッハが凄いのはファラデーが凄いのと同じイメージ。
16C以前 神のための音楽 〜『石造りの境界の建物全体が音を立てて振動する感覚』とともに〜
- 12C末 ノートルダム楽派 空虚5度(ドミソのミがない)。 http://jp.youtube.com/watch?v=HlQQlLjoH2Q【ペロタン】 音楽は楽しむ物に非ず。神の前にひれ伏すもの。
- 15C ルネサンス前期 フランドル楽派 3度が加わり今の和音になる。http://jp.youtube.com/watch?v=2DBtiTVaJZ0【デュファイ】 凄みのある美しさ。
- 16C ルネサンス後期
- エコー効果。http://jp.youtube.com/watch?v=d_yX2K7T590【ガブリエリ】 音数が増えて凄みは減った感じ。
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- 『「和音」の発見は「不協和音」の発見と同義 (P54)』http://jp.youtube.com/watch?v=TVW8GCnr9-I&feature=related【ジェズアルド】 この時代にこの無調(1:10、3:40)。 作曲者殺人者の肩書きも伊達じゃない。
17C〜18C半 バロック 王のための音楽 〜『目も眩むような装飾の中で』〜
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- まず、フルコースの料理+器楽のBGM
- 次に、夜明けまでオペラ劇場でカストラートの声を堪能あれhttp://jp.youtube.com/watch?v=ZNp8hYycx4c&feature=related【ヘンデル from映画「カストラート」】 からくり*1を知っていてもグッとくるものがある。人道的な問題無視すれば聴いてみたかった。
- それから噴水+花火+BGM http://jp.youtube.com/watch?v=BMvpvDjFvHA【リュリ from映画「王は踊る」】 胸焼けがするスケジュール。
- ロココ鍵盤音楽『銀細工のような繊細な装飾。軽やかさ、透明さ (P97)』http://jp.youtube.com/watch?v=Wl8DVSkY0UA&feature=related【クーランプ《聖なる障壁》】。
- バロックも終わりの、軽やかなロココ音楽が生まれていた時期に、バロックの異端児バッハ登場。 バロックは絶対王政とそれに癒着するカトリックの側の音楽だったけど、バッハが生まれたのは清貧プロテスタントのコミュニティからだった。 画家で言えば、プロテスタント村から出現した人は「レンブラント」に「フェルメール」って、何か分かる。禁欲質素質実剛健。
- バッハは当時、多作で作曲能力が凄いのはわかるけど、時代遅れで重々しいよね〜って評価だった(『難解で抽象的な対位法、重々しい通奏低音、いかめしい装飾でいっぱいの旋律法』)
- その重さをこそげ落としたのがグールド。まずはこれを。http://jp.youtube.com/watch?v=qB76jxBq_gQ【《パルティータ》 グールド27歳?】 2:00!3:00!
- 重さと軽さの対比が良く分かる映像。http://jp.youtube.com/watch?v=MDn8bY3-3W8【1:15〜 《ゴールドベルグ変奏曲》22歳 from「知るを楽しむ 第一回 2/3」】 対位法をめいっぱい歌わせて、軽やかに弾き切る。
- 50枚組のボックスセット買ってしまった。今のところ一番好きなのはhttp://jp.youtube.com/watch?v=_0FV9k9Ov5o【《イタリア協奏曲》 27歳】 鮮やか。
18C半〜 知的階級のための音楽
- 18C半 古典派
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- ベートーヴェンはメロディーは凡庸だけど、オケが小編成でも力強いのと、大風呂敷を広げて畳むことが出来る(漫画家で言うと最終回まで引っ張れる)のが凄いらしい。
- 19C ロマン派 いっぱいいる。略。
19Cに変わったこと『西洋音楽史』より要約
- 18Cまでは現代音楽しか演奏してなくて、(原則として数度演奏されたらそれで終わりの消耗品。今のポピュラー音楽に近い)
- 19Cに過去の音楽と現代音楽を演奏するようになって、
- 20Cになったらもっぱら過去の音楽しか演奏しなくなった。
- 18Cまで、音楽の勉強=作曲の勉強、だった。独奏者はみんな自作自演だった。
- 19Cから、音楽の勉強=楽器演奏の勉強、になった。もっぱら他人が作った作品ばかりを演奏する「演奏家」が誕生した。
- 19Cに音楽批評が始まり、「後世に残すべき名作を選定」するようになった。「バッハやベートーヴェンの横に並べても恥ずかしくない『不滅の名作』を書かねば」という使命感が芽生えてくる。・・・これは大変なプレッシャーだったはずである。・・・破棄・・・・恐ろしく時間がかかる・・・過剰な気負い。作曲家は寡作になった。
- 19C半 ロマン派の爛熟と崩壊
あくまで古典派からの流れの中に居続け、その中での最大限を目指すワーグナー、マーラー(ドイツ)
vs 視野を広げて古典派以前も民族音楽もキャバレー音楽も黒人音楽もジャズも取り入れちゃえ。ラヴェル、ドビュッシー(フランス)
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- 一昨日の世界ふしぎ発見!「狂王 ルートヴィヒ2世と3つの城」。城がグロテスクで密度が濃くって、ぜひ生で観て胸焼けしたいと思った。 普通、英雄譚に憧れても、絶対王政の豪華絢爛に憧れても、まあ実現できずにあきらめていくもの。 だけど彼の場合なまじっか城建てられちゃった、ワーグナーのパトロンになれちゃった・・・と中途半端にできてしまったからこそ、ついぞ現実に戻ることができなかった感じ。 ルイ14世には血税ものともせず美学にまっしぐらな仲間がいっぱいいたけど、彼に精神的についてきた人は居ない。 独り言の英雄譚、一人で絶対王政ごっこ。お金で雇った従者と夜な夜な饗宴。 そんな舞台の城を「素敵!メルヘン!」って言えるミステリーハンターの頭の中がラストミステリー。
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- マーラーと同時代ならディーリアスももっと評価されていいんじゃないかと思ってしまう。やたらエモーショナルなのに曲展開が読めない曲! ずーっと観たかったケン・ラッセルが作ったディーリアスのTVドラマ「song of summer」http://jp.youtube.com/watch?v=4Vyk7Gt5QtEがyou tubeに上がってて感激。曲を口述筆記することがこんなに大変だとは。 あんな身体になってなお頭の中に「夏の歌」があったディーリアスも凄い。超乙。
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- ロマン派+α フランス近代音楽
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- サロン音楽(ショパン・リスト)からの影響。http://jp.youtube.com/watch?v=U4JYYRa832c【ラヴェル≪水の戯れ≫】ザ・印象派の一曲。リストの≪エステ荘の噴水≫をモデルにしている。でも原曲よりいい。 太田由希奈によく似合う・・・。
- ミュージック・ホールの音楽(キャバレー・民族音楽・ジャズ)からの影響。
- ラヴェルで一番ジャズっぽいのはこれhttp://jp.youtube.com/watch?v=xjdAyy1xatA&feature=related【《ピアノ協奏曲ト長調 第3楽章≫】か。ピアノ指揮すてき。 第1楽章は胡蝶の夢的名曲。精神分裂病的。時折、蝶のようにふわんと幻想パーツが紛れ込む。 第2楽章は、http://jp.youtube.com/watch?v=ftJ-gJ-l5HQ&feature=related【《同 第二楽章≫】4分〜5分30秒の不協和音メロディーがたまらん。
- ロココ鍵盤音楽(クープラン・ラモー)からの影響。古典派以前へのノスタルジア。http://jp.youtube.com/watch?v=GXRZQIfxlIU【ラヴェル≪クープランの墓 プレリュード オケ板≫】 ピアノ板の方がクープランのチェンバロ音楽っぽさがあるけれど、オケ板のクレッシェンド大好物。この映像のは少し物足りないけど。
- エキゾチズム。ハンガリーのロマ音楽チャールダッシュの形式を用いた1曲。http://jp.youtube.com/watch?v=3l-zDc_yqVg&feature=related【ラヴェル≪ツィガーヌ≫】 ラヴェル幅広すぎ。フィドル好きがヴァイオリン好きにも広がった一曲。狂にも俗にもなれるヴァイオリン最強。
- サン=サーンスもドビュッシーも好きなんだけれどすっとばしてしまった。ラヴェル幅広く面白い。
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- ロマン派+α フランス近代音楽
とはいえロマン派もまだまだ根強い。ポピュラー音楽はロマン派の末裔。リズムも調性も同じ。「市民に夢や感動を与える」というコンセプトも同じ。
この流れで言えなかった好きな作曲家。
- バルトークの民族旋律、特に叩きつけるようなピアノ曲最高。http://jp.youtube.com/watch?v=KRAt0sp37Y4&feature=related【3:57〜≪ピアノソナタ 第3楽章≫】
- ナンカロウは3分以上聴くと気が狂いそうになるけど3分までは最高。http://jp.youtube.com/watch?v=vaqz-glFJSQ
クラシック参考リンク
- 2ch音楽系掲示板『各作曲家のナンバー1を決めよう!』スレッド 「おまとめ」http://www.geocities.jp/brass_2ch/main.html まずは「No.1リスト」をクリック。上位に知らない曲が並んでいると挑戦し甲斐がある。
- ベア速 やる夫で学ぶ音楽史http://vipvipblogblog.blog119.fc2.com/blog-entry-184.html 近現代史が面白い。